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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密のVisorRobotのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

科学捜査の進んだ現代でなかなか成立しがたい「普通の」本格ミステリを映画というあまりミステリ向きではない媒体で見せてきたことには拍手を送りたい。
序盤にこんなの科学捜査で簡単にわかるだろ?時代設定いつやねん…という我々のツッコミどころをうまく利用して、かといって最近ありがちな問い自体が間違いでした形式の回答(世界観が○○だったとか…)もなくこなしてくれたのは粘り腰だよなあ。
あからさまに仮託されている移民問題への風刺はまあ味付け程度でしかなく議論が深まるレベルには到達していなかったと思う。娘は基本的にイイ子なのフェアでと良かったかな。
深く考えるとツッコミどころもある。俺が気づいたのはふたつ。ひとつは国の研究施設を簡単に放火して証拠を喪失させられるならそっちの方がすげーわという最近『金田一少年のスピンオフ』などで揶揄されている問題。もうひとつはあれだけ起点の利くミステリ作家のおじいがなぜ血液検査でトリックが見破られる可能性も考えず計略を実行したのかという点。ほんとにモルヒネを打っていて頭パーになっていたとか理由付けがないと承服しかねる失態である。
ああ、それに遺産をすべて他人に与えるなんていう非現実的な遺書は作れないだろとも思ったな。昔行列の出来る法律事務所で身内はどうあれ一定分与されるって聞いたぞ。
単にクラシックなミステリのパターンとして評価したい一小品だった。
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