このレビューはネタバレを含みます
面白かった。面白かったというとあれやけど。
1956年のベルリンとかハンガリーのことって頭で知ってるよりだいぶ複雑やな。そらそうか。
主人公は高校生たちですが、その上の世代、親の世代たちもとても重要で、物事というのは独立した因果の中で起こっているのではなくて、因果の連続の中の結び目みたいなもんなんだろう、ということを強く感じる。
最初にソ連兵が言った、好きで来たんじゃない、というのは登場人物全員の言葉かもしれない。だれも好きで今の状況にいるんじゃなくて、家族を守るためだったり、破れた末だったり、いろんな事情で今、たまたまその立場にいる。
物語はそういう流れの中で自分の立場を決めるのではなく、「自分で考えて」希望の列車に乗るところで終わる。乗らなかった4人も、自分で考えたわけだから、もう一つの希望の列車に乗ったんじゃないだろうか。
最初は多数決という、一見民主的な(あ、でも社会主義も多数決好きそう、おや?)でも実は主体性のない「その場の空気」に流されて黙祷に参加することを決めた(というか、喋らなかっただけで参加すらしていなかった子たちもいるのでは)人たちも、最後は自分で考えて行動できたと。
まあでも、その後幸せになれたかどうかは分からん。自分で決めて生きるのって本当に大変なんだよ。何かに寄りかからないと生きていけない(登場人物の誰かも言うてたな)。そういう意味で、それを「希望」と呼ぶのはいささかロマンチシズムがすぎる気も…。
登場人物の中で一番嫌だったのは、ラジオ聴かせたおじいちゃん。自分がどういう立場かは自分で決めればよいが、なんとなくアジって若いやつを巻き込むのは、やだ(70前ぐらいの退職教師にそういう人をたまに見かける。主義を押し付ける意味ではあなたも一緒なんだよなーって思うのよね)。無責任だし。
あとライフルの指導者みたいな人も嫌い。俺の中で同じワク。
悪役っぷりを発揮してた女性役人と教育大臣はめちゃよかったなぁ。生き生きしてなかった?ここちゃんとしないとね、あれやからね。
オトンとオカンとオトンとオカンとオトンとオカンもよかった。議会の偉い人と肉体労働者と宗教家。
名前忘れたけど、あの子があんなに重要役になるとは思わなかったなー。顔に死相が出てたし、チクリやなやつ止まりと思ってた。
全体として、派手ではないんだけど緊張感あって飽きなかった(浮気のくだりはいらんかな)。じっくりと考えながら見ることができる映画。
もっと勉強しよう。
そして自律だな。