この邦題を除いては完璧に近い。
東ドイツ、西ドイツで二極化していた時代に起こったドキュメンタリー映画。
第二次世界大戦が終わり、敗北したドイツに訪れた社会主義と民主主義の派閥。
政治に関心を持つ進学コースのクラスの生徒たちが "人間として" 2分間の黙祷をする。
黙祷を捧げるキッカケになったのは、自由を奪われ、自由を求めて立ち上がりデモをした人々が社会主義の人達に無残にも殺されてしまったから。
この善意でしかない黙祷が、後に国問題まで発展し、取り返しのつかない事になってしまう。
その中で "正義感" の強い若者の弱みを掴み、国絡みで嘘の情報を生徒の一部に伝える。
「彼は誰々を首謀者と言っている」と嘘を植え込み、生徒達の団結力を崩していく。
国家の汚さと18歳の生徒達の勇敢さがぶつかり合う様は見ていて胸糞が悪くなった。
勇敢な光は国家の闇に飲み込まれてしまう。
黒は白を覆い尽くすのは "色" というカテゴリでは理にかなっているのだが、心理的な黒さえも白を飲み込んでしまうあたりは、この地球の原理なのかもしれないと思わせられる。
何かが起きるのには理由があるというが、争いに理由などあるのだろうか?
争いの元は実は何もなく形の無い思いかけが形となって争いが生まれてしまうのだろう。
結果的に争いに意味などなく、何も生まれる事がない。
映画に関しては、若者達の生命力をズシズシと感じられる作品であり、仲間の美しさが財産以上の価値であるものだと確信できる作品だ。