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象は静かに座っているのKのレビュー・感想・評価

象は静かに座っている(2018年製作の映画)
3.8
序盤すぐに分かるタイトルの意味。4人をつなぐ象。苦難続きの人生。作中に登場するのは、溜め息をつきながら日常をやり過ごすような人たちばかり。生き生きとした人間が出てこない。死にたいとか消えたいとかいう感情に見て見ぬ振りを決め込み、その感情に追いつかれないよう生きている感じ。いつあちら側へ行ってしまうのかと漂う危うさ。リリイシュシュのすべてを何となく思い出す。ほとんど流れない音楽。4時間は長いけれど、4話で完結するドラマと思えば長くはない。この映画が終わる頃にはもう少し見ていたいと感じた。大人の説法を簡単に破るシーンが良い。みんないっしょ。絶望の中に希望を見出すタイプ。象は静かに座ってなどいない。フー・ボー監督が作品完成後、29歳で自殺した際の背景を読んだ。この4時間を命がけで守ったようにも感じ取れる。その意思が捻り潰されることなく、この形で届いたことがわずかな救い。願わくば、監督自身にも象を見つけて欲しかった。
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