象は静かに座っているの作品情報・感想・評価・動画配信

「象は静かに座っている」に投稿された感想・評価

deadcalm

deadcalmの感想・評価

4.2
フー・ボー監督のデビュー作にして遺作。タル・ベーラリスペクトらしい長回し中心の4時間の大作。

中国の田舎町を舞台に、4人の男女が抱えるそれぞれの生き地獄と逃避。それぞれの事情から急激に居場所を失っていく、時々交錯する彼らの姿をザッピングしながら、とある一日の朝から晩までを描く。
この世の生き苦しさを濃縮したような、誰も彼もが他人に理解を向ける余裕を持たない救いのない世界観で、主人公たちを4時間かけて丁寧に丁寧に追い込んでいく。重苦しい長い沈黙のシーンなども多く非常に見ていてしんどい、が、だんだんとその街の空気に没入していく。

舞台の街はけして見栄えの良いとは言い難いうらぶれた土地だが、映像はずっと美しい。メインの人物にピントを合わせ続け、周囲のものをぼんやりとしか描かないなど、いくつか特徴のある撮影。時々挟まれるBGMがかなり好み。

いろいろ印象的なシーンはあるけれど、ジンが老人ホームを訪れるシーンの絶望的な暗がりが強烈に焼き付いている。

終盤の病院のシーンあたりから一層厳しさが加速し、満身創痍に傷ついた彼らはいよいよ長い長い映画の終わりに向かう。その後の彼らのことは想像に任せられる。ぼんやりとした不安とあまりに覚束ない微かすぎる希望だけが描かれる。
ラストシーンでは、途中のセリフで一回(たぶん)言及されてただけの要素が活用される。そこを寝てた人は残念。
有希

有希の感想・評価

4.6
苦痛は生まれた時に始まり
場所を変えたところで消えるわけじゃない
新しい苦しみが生まれる
何のために存在するのかは
誰にも分からない
その場にいるかの様な没入感。ただ傍観させられる苦しむ人間の姿。人物の背を追うカメラは長い夢を見ている様な浮遊感。一つ一つの台詞が重い。長尺なんて物じゃないが、無駄なシーンは無い。人生を省いて進める事が出来ない様に、この映画は観客もそこに存在する事を強いる。安易な救いは無く、何の答えも示されない。ただ流れた時間の中にだけ、実感が痛みとして残る。観るのに覚悟が必要な映画。
この世界の何処にも行き場所も居場所も無い閉塞感を伝えるというか味合わせる為の4時間なのは理解できるけど、それでも体感として普通に長い。
1時間のドラマを4話観るような感覚で観ました。

誰かの孤独なんて共有できないし、みんなの孤独なんて唯の馴れ合いで消費され、ひとりひとりの地獄があるだけ。

祈りと叫びの真ん中らへんで声は言葉から剥がれていった。
yukko

yukkoの感想・評価

2.4
知らなかったんだよ、この映画が4時間もあるだなんて…(ノД`)💧💧💧

夜勤明けのグッタリ疲れきった脳ミソでの鑑賞はまさに罰ゲーム…
2時間程観た所で知った234分…😱途中寝たよ😪
最後まで観たので言いたい放題言ってやるちくしょー。

カメラアングルなんなん?見せない美学ってあるけど、コレはハズしてるわ💢
顔しか映さねえ💢ちゃんと見せろよ!想像で補えってか!?映画だろが💢
淡々とダラダラと長過ぎるわ💢纏めたら2時間でこと足りるだろが💢
何も解決してねーし💢何を象に求めてんだよっっ😫逃げたって解決しねーよ😡

ラスト爺さんが言ってる事はもっともだが、そりゃアンタ、長く生きてきたから感じる事でさぁ。高校生には伝わらんよ💧

つまんなくはないけどこの長さは時間返せと言いたくなるわー。
2本観れたわー。心にも残らないわー。今後ちゃんと時間チェックするわー。
あ~疲れた😩

※色々レビューを見てわかった事。

この監督、映画完成後に自害している。デビュー作にして遺作。
そう思うと、メッセージ性強めな作品。生きるのは地獄だったのかもね。
気が滅入る映画なのは確かだ。
自分がちっぽけなのか、この世界が広すぎるのか。カメラワークはがっちがちなのに、その下をゆっくりと流れていくセンチメンタルさがめちゃくちゃ青臭くてもうなんか。人間を構築する言葉も行為も裏を返せばぜんぶ只の暴力でしかないのかもしれない。全てをその言葉で罵り、全てを憎んで、全てを諦めても、それでも全てを抱え生きていくしかないんだろうきっと。嫌だけど。4時間は決してあっという間ではないけど一瞬一瞬が貴重。

「あなたクズなの?それともクズのふり?」
『分かってる。俺の人生はゴミだ。毎日ゴミばかり。掃除してもすぐにゴミがたまる』
「特別なことじゃない。皆そうだわ。自分だけだと思った?」
どこへ行っても同じ。犬がいたから耐えられた。
みていてどっと疲れた。中国にこんなすてきな役者がいるんだ。監督何故死んだの?悔やまれる。
長い映画は余り得意では無い。
集中力が続かないのである。特に家で観る時。
しかし、映画を沢山観ている又は映画館で働く友人達に勧められて鑑賞。
ワンカット長回し、ゆったりとしたセリフのタイミング、クロース アップと後ろボケの多用、くすんだブルー グレイな色調等々、長い尺も含めて、全てに必然性を感じた。
辛い内容だし、他人のせいにする人物ばかりが出てきてウンザリもするが、そんな現実の中で微かな希望も感じました。
監督のご冥福をお祈りいたします。
morning

morningの感想・評価

4.0

このレビューはネタバレを含みます

備忘録:たばこの先をハサミでチョンってかっこいいな。/「世界は一面の荒野だ」/料理屋の店主が燃えるシーン/「教授が漁師に聞いた。詩は好きか?いいや。音楽は好きか?いいや。人生の楽しみが消えた。漁師は聞いた。泳げるか?いいや。お前の人生は終わりだ。船は沈んだ。」/「ひとは行ける、どこへでもな。そしてわかるどこも同じだと。その繰り返しだ。だから行く前に今度こそは違うと自分まで騙す。一番いい方法は、ここにいて、向こう側を見ることだ。そこがより良い場所だと思え。だが行くな、行かないからここで生きることを学ぶ。」
1シーン1カットの演出、人物の背を追うカメラワーク、ノーライティング、無駄な劇伴の排除。

これら監督独特の演出に序盤は苦戦を強いられるものの、少しずつその表現技法に目が慣れ始めると、かつてない没入体験が味わえる。

物語が終盤へ差し掛かるにつれ言葉は重みを増し、4時間に及ぶ大作のラストシーンは、文字通りの圧巻であった。

監督の死が意味のあるものであったことを願う。
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