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象は静かに座っているの理事長のレビュー・感想・評価

象は静かに座っている(2018年製作の映画)
3.8
✒️作品情報
『象は静かに座っている』は、2018年の中国映画。
監督のフー・ボーはこれが長編デビュー作だったが、作品完成直後に29歳の若さで自ら命を絶ち、遺作にもなった。
原作は、フー・ボー監督が、17年に発表した自著「大裂(Huge Crack)」の中で、自身が最も気に入っているという同名短篇の映画化。


✒️感想
234分。約4時間ものの超長尺の作品。
それだけ聞くと観る気すら起こらず、存在を知ってclipしたとて後回しにしてしまうような長さ。。。😨😨😨

でも、でも気になりませんか...?🤔
レビュー数が少ないとはいえフィルマのスコアは4点台というハイスコア。
長いなら「長い」という評価で下がりやすいのに、何故ハイスコアなのか?
この作品に観ている人に何を感じさせるのだろうか?

本作のレビューの前に、この作品のフー・ボー監督は本作のクランクアップからわずか7カ月後に自ら命を絶っています。
その原因をめぐって、さまざまな憶測があるが、 4時間近い作品をそのまま公開することに当時の製作側から反対の声が上がり、再編集を求められたことに思い悩んだという話が取り沙汰されています。
自殺の本当の理由は分かりませんが、間違いなく言えるのは、自身の長編デビュー作に命を懸け、短い人生の最期の日々をそれに燃やしたということ。

そんな本作は、中国にて、上海や北京という大都市は勿論のこと、内陸部でも開発は着々と進み、巨大な工業都市が次々と出現し大きな経済発展を遂げる中国。
そんな現代中国の繁栄から完全に取り残された田舎町で、住民の心が荒廃しきって社会からこぼれ落ちた人々がいます。

その中で様々な事情を抱えながら、行き場のない悲しみを抱えた孤独な4人が、どん底から希望を目指すある1日の物語。
それを234分使って描いたのがこの作品です。

登場人物もそんなに多くなくてセリフもかなり少ないです。それなのにこの長尺になっているのは、登場人物たちが発する自然な感情を「自然光での撮影」「挑戦的な長回し」「登場人物の立ち位置」「カメラアングルの細部」にまでこだわり抜いて描いているからこそ。
そしてこだわり抜いた結果、半端ない臨場感と緊張感を生み出していて、234分ものの時間を忘れてしまいました。

さらに、ラストの解釈含めて、その234分をどう消化していいか分からないぐらい、余韻が強くて、見終わったあと心拍早くなります😯
234分のラストがアレでいいのかどうかは人によって意見がわかれるかもしれないけど個人的には物足りなさを感じました🤔

だけど間違いなく234分は長かったか?と聞かれたら、『長くなかった』です。
言い方を変えると必要な長さだと思います。
234分でないと本作の雰囲気が伝わらないのだと思います。

そういう作品だと私は思ってます👍👍👍


✒️あらすじ
中国のさびれた田舎町で、暴力で自分を守ってきた男、将来の展望がない少年、教師と深い関係にある少女、家族に見離された老人が暮らしていた。彼らの心を動かしたのは、北部の人里離れた満州里の動物園にいる、日がな一日座り続けている不思議な象だった...
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