きゅうげん

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のきゅうげんのネタバレレビュー・内容・結末

3.1

このレビューはネタバレを含みます

『ジュラシック』シリーズ、ついに完結! 
…なのか?

ぶっちゃけ、もっと驚天動地で阿鼻叫喚な世紀末の“ジュラシック・ワールド”を観たかった……。『パーク2』の終盤のほうが、現代社会と恐竜世界との遭遇をよっぽど描けてます。
摩天楼で巣作りするプテラノドンとか漁船を襲うモササウルスとか、冒頭5分くらいで済ませる内容をもっとみしちくり〜!

文明社会が直面する危機的状況とか、クローン研究にかかわる生命倫理の問題とか、『ワールド』前2作で示された深長なテーマに対するアンサーは一切なし。気づけば蝗害による食糧危機に問題がすり替わってます。
そのうえ、チョーズン・ファミリーとしての『ワールド』主人公3人の関係性は、「私は“母親”よ!」とか「私の“両親”だわ!」とかセリフに一元化・矮小化されており、首肯しかねる描写ばかり。

バトル・フィールドが結局、ジャングルや草原などで目新しさ皆無なのも重大な欠陥。
アップル本社のパチモンみたいな会社がイタリアの山間部にあっても「なんで?」としかなりません。それならそれこそシリコンバレーでディノ・クライシスな展開の方がカタルシス満載かと。
「ついに新旧キャストが全員集合!」……な場面でも、数が増えた分だけアクションはもっさり。
なにより、二軸のストーリーそれぞれが淡白で薄味(というより下手)なうえ、接続や交差する展開も平々凡々、本当にただ遭遇しただけで感動できません。
クライマックスのティラノサウルスvsギガノトサウルス戦も、前振りだったPVの内容を前提としすぎるあまりに本末転倒な取り扱いで、まったくノれず……。
そんなPVが「6500万年後!」という趣向だったり、当該シーンでの「僕たちは関係ないようだ」というグラント博士のセリフだったり、まさしく恐竜主体の世界観が前景化……できるはずだったのに形骸化してしまったのは本当に惜しい。

というかコリン・トレボロウ監督、「ほら、インディっぽいでしょ」「SWっぽいでしょ」とやりたいことやってるだけじゃん。……それシリーズ最終作でやること?
サム・ニールが007っぽいことするのにはクスッとしましたが、サトラー博士との恋路はちょっと……。SWのレイ&レンのキスシーンと同じように辟易するものが。
マイケル・ジアッチーノのスコアもエピック感なさすぎ。最近ちょっと仕事が雑じゃない?
クリス・プラットもびっくりするくらいモチベーションなさそう。

唯一よかったのは、やはりメイジー。
不遜さや聡明さなどキャラクター的魅力が成長した分アップしていて、並走するストーリーをつなぐ潤滑剤どころか心臓部として、なくてはならない演技をみせています。
しかしながら、どの要素をとってみても「現代に恐竜が解き放たれた!」という緊迫感や絶望感、「ジュラシック・ワールドが今ここにある」危機感が薄くて残念。
「なんでコレやらないの?」
「なんでソレやるの?」
……が多い、ガッカリ最終作でした。