風の旅人

ウエスト・サイド・ストーリーの風の旅人のレビュー・感想・評価

3.5
本作を恋愛映画として観た場合、極めて物足りない。
トニー(アンセル・エルゴート)とマリア(レイチェル・ゼグラー)の馴れ初めのシーン。
その他大勢がダンスを踊る中で、二人だけが互いに見つめ合い、恋に落ちる。
動と静の対比が素晴らしい。
だがしかし、冷静に考えると、両方が同時に一目惚れする事態に違和感を覚えた。
美男美女だから成立するというか、その直後にマリアがトニーにキスする姿を見て、「軽薄」と思ってしまった。
悲恋でも何でもなく、不幸な出来事が起こらなくても、きっと二人は上手くいかなかっただろう。
一時の気の迷いで人生を棒に振る。
それは普遍的な物語かもしれないけれど、本作には説得力を感じない。
社会派のスピルバーグにはミュージカルの魔法を発動させる力が足りなかった。
風の旅人

風の旅人