原題『影』(2018)
監督 : チャン・イーモウ
脚本 : チャン・イーモウ、リー・ウェイ
撮影 : チャオ・シャオティン
編集 : シュウ・シャオリン
音楽 : Loudboy
出演 : ダン・チャオ、スン・リー、チェン・カイ、他
「三国志」のエピソード「荊州争奪戦」を大胆にアレンジし、水墨画のような白と黒を基調にした映像で、自由のため大軍に挑む影武者の戦いを描いた武侠アクション映画。
中国の伝統文化に根差す芸術性とエンターテイメント姓を兼ね揃えた作品で非常に楽しめました。
中国の水墨画のような、スタイリッシュな映像美、衣装、美術が素晴らしく、美術セットから衣装まで全て白と黒のモノトーンで染め上げられていて作品全体を統一する白と黒の対比は、そのままストーリーの「光と影」、登場人物たちの「表と裏」、そして都督と影武者の「主従関係」を象徴するメタファーとなっていてコンセプトをわかりやすく映像としてしっかり反映させている所は非常に好印象。
敵大将との勝利ロジックも「剛と柔」で「柔」をしっかり利用しての勝利な所はちゃんと巧い。
視覚的快楽度も非常に高く、鋼の刃を仕込んだ傘や雨の降りしきる中、コマのようにグルグルと回る傘で身を守りながら坂道を滑り降り、周辺を取り囲む敵軍に刃を飛ばしていくシーンはオリジナリティ溢れるスペタクルシーンで必見。ヴィジュアルが面白いし高揚感を凄く感じました。
宮廷内での薄い透けて見えるヴェール越しのショットも非常にスタイリッシュで印象的。
チャン・イーモウ独自の美学が全編に炸裂している圧倒的な映像美の武侠アクションエンターテイメント作品の傑作でした。
