ワンダフルデイズモーニング

私、オルガ・ヘプナロヴァーのワンダフルデイズモーニングのレビュー・感想・評価

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 ミハリナ・オルシャンスカたんがかわいい。
 先んじて言っとくが私はこの映画好きである。
直截に伝わってくるものは何もないが、そもそも映画とは何かを伝えようとするものなのか?ということを考えるとそういうもんでもないだろう……と思うから、私はこの映画の何にも伝える気のないような態度に対してネガティヴに思わないが、オルガが喋る言葉は痛切ではあろうと思いつつかもめんたるの言葉をひけば「そういう時期」と言えなくもない。私たちは相手に無関心な他人の集合で、その前提を"残酷だ"と吠えるのは肥大した被害者意識でしかないように思うから、いやだからミハリナ・オルシャンスカたんがかわいいというのを繰り返すが本当にそれがすごく大切なことで、ミハリナ・オルシャンスカたんをかわいいと思えなかったらあんなにヤケッパチなディスコミニュケーション状態の人間に一〇五分つきあうのに私は耐えられない。グッときたのは凶行日の朝の布団をかけ直してあげるところだが、その人間らしい行動がオルガを狂人になり損なわせるため、やっぱりヤケッパチなだけじゃんとも思わされる。

 直截的に伝わってくるものはないと書いたが逆説的に伝わってくるものはある。我々はやはり別体の個人であるということだ。それは上に書いたような社会の中の集合を意味しない。もっと個人的なレベルでも、他人同士であるということだ。だから時として、こうやって実在した人間の半生をフィクションの中でなぞる作品が作られることがあり、それが興行になり、遠い異国の我々が地下の暗がりの中で金払って観る。
 直截的に伝わってくるものはないと書いたし直截的に伝わってくるものはないと書いたと書いたが、ほんといえば直截的に伝わってくるものが一点ある。冒頭一行目に書いたため、割愛する。