そるとり

私、オルガ・ヘプナロヴァーのそるとりのレビュー・感想・評価

3.8
重い。誰とも繋がれない、拒絶される孤独を考えると苦しくなる。
だからといって殺人をしていい理由にはもちろんならない。
孤独は人の中の憎悪を増幅させる。
どうにでもな〜れ☆の矛先が自分に向かうか他人に向かうかの違いだけだと思うと、自分だっていつ犯罪者になるかわからないと思ってしまう。怖い。

オルガに誰か一人でいいから繋がれる人がいればと思ってしまうくらいには見てて苦しくなったけど、オルガも自分勝手というか自分の思い通りになる人が欲しいだけに感じたし、冒頭に「家族も友達も恋人も理解し合えないと気づいたほうがいい(うろ覚え)」と言ってたように、そもそも人を理解したり歩み寄ったりする気持ちがないように見えたから、仕方ないのかもしれない。
あーでも、人に煙草を分けたり事件の前に同居人に布団をかけたり、ぎこちない思いやりや優しさも持ってたんだよな。その辺りにオルガの人間性を垣間見た気はする。
世間を憎みながらも、本当はどこかで希望を持ちたかったのかな。

全体的に構図というか画面が良かった。
「四肢があってチェコ語を話す白人なのに」というセリフが心に残る。