ピュンピュン丸

テッド・バンディのピュンピュン丸のレビュー・感想・評価

テッド・バンディ(2019年製作の映画)
3.8
彼が犯人だとしたら、この映画を見る限り、彼が本当にやりたかったのは、間違えなく『弁護士』だろう。

いや、少し違う。

彼は自分の「頭の良さ」を表現し、証明したかった。

彼が自分が頭がいいことを確信している第一は、邪悪な欲望に突き動かされているにもかかわらず、言葉巧みに初対面の女性の心を惹き、見事にその欲望を果たしてみせていることだ。そして、とりあえずバレていない。だから、俺って頭いいって、確信してる。半分は本人的に証明できてる。

あとは残り半分だ。

こんなに頭いい自分のはずなのに、大学の法学部に通ったことはあるが、司法試験合格まではたどりつけず、どうしても弁護士になれない…。

彼の深層心理が、彼の欲望を見事に叶えさせている姿が映画にはよく描かれている。

マスコミの注目するなか、彼が自己を弁護するときの酔ったような恍惚感はそれを物語っているし、自分のために働いてるはずの弁護士たちが馬鹿に見えて仕方がない様子が見て取れる。

狂気の殺人鬼も美男子だったが、それをイケメン俳優のザック・エフロンが演じる。よく引き受けたとも思うが、ただ気づいたのは、彼のやや寄り目の目が、もしかして精神的にオカシイやつかもという疑念をみてる側にもたすので、いい配役といえるのかもしれない。

映画のなかで、「いずれにしろ犯人は相当精神的に病んでるやつだ」というセリフがあるが、自分としては彼がどうしてそんなに病んでしまったかのほうに興味をもつ。しかし、この映画は裁判中心で、まるでそこが描かれてはいない。物足りなかった。

それから、とても気になる点がもう一つ。

映画のなかに出てくる2人の女性。
彼にとって重要な存在と言えるこの2人の女性は被害者になってない。彼と関係をもっても、被害者になるものと、ならないものがいるのだ。性的な犯罪者の心理を研究する上で、この差に着目し研究することが大事じゃないかと思った。

とても興味深い。