うかりシネマ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

石油資源を持ち1920年代当時世界で最も裕福な民族と言われたオセージ族を排除しようと、白人がオセージ族を殺す事件が多発していた。
戦場帰りのアーネストは、“キング”と呼ばれる顔役の叔父によって、オセージ族の女と政略結婚をすることになる。

公称は20人ながら数十人とも数百人とも言われる犠牲者を出した殺人事件の様子は、淡々と描かれる。そのパターンも多彩で、白人の凶暴さの恐怖と共に美しさも感じられる。金のためだけにオセージ族を殺し続ける魔の手は、アーネストの妻モリーの親族にも迫り、姉妹が無慈悲に殺されていく。

謀略に巻き込まれ、“おじき”から人を殺すよう頼まれるアーネストは悲劇に思えるが、彼自身も強盗をしたり博打に熱狂したりと、ただ家族想いなだけの屑だと描かれるのが面白い。

興亡を描くギャング映画はどうしてもラストで尻すぼみになりがちだが、本作ではそこに自覚的な解決を置いている。

連続するオセージ族の死から幕を開け、渦巻く不穏、殺人の計画のための密会、オセージ族の民族衣装や儀礼、破滅を待つだけの悪人……そのどれもが美しい。
静かな映画だが、3時間半の長さを感じさせない。