ミニーゲッツの秘密からどう監督作のこちらを鑑賞。
この監督の得意とする現実とファンタジー絶妙なコンビネーション。ファンタジー系の作品が苦手なわたしでも邪魔に感じないのがいいです。
Mr.ロジャースはアメリカで長年親しまれた子供向け教育番組。静かな語口と様々な切り口でのアプローチが特徴的。セサミストリートとはまた異なるもう少しこじんまりした感じで、司会のMr.ロジャースが企画から全てを担ってる。
この映画…これは世界中の人が観るべきですね…一国を背負うような人からそうで無い人まで!
わたしは、自分のためにもこの先繰り返し観なければと思った程です。
「幸せへのまわり道」と言うタイトルがまわり道しちゃっているのが惜しいとしか思えませんが…。日本では知名度がない人物の話とは言え、邦題が映画をつまらなくしてしまうのはいかがなものかと…
このタイトルのおかげで、わたしがまわり道しちゃいました。
「1分だけでいいから、自分を培った人たちを思い浮かべてほしい」トム・ハンクスの目線がカメラに向かいわたしを見つめている…
こう言われるといやがおうにもやはり家族のひとりひとりが脳裏に浮かぶ。意図せず、彼の言葉に操られているかの様だ。
わたしを培ってくれた人々…
この映画の主役はトム・ハンクス演じるロジャースだけれど、事実上の主人公はマシュー・リス演じるロイド。
自分は怖くなると怒りを感じると言う彼は、幼子と理解のある妻に支えられながら、雑誌社で編集の仕事をしている。彼の記事は辛口過ぎて、編集長はそのことを心配し、現代のヒーローと言うテーマでこのMr. ロジャースの取材と記事の執筆を依頼する。
先ずは疑う。テレビ業界で成功している人物に自己プロデュースは当たり前だし、世間が見る彼の姿は作り出されたものに過ぎない。
そして次第に明かされる、Mr. ロジャースの本当の姿。
父親との確執を抱えた主人公は怒りを抑えることができない。
言葉にできれば対処できる。
そう言って、自分も怒りを感じたら、ピアノを激しく鳴らすこともあると話すロジャース。
子供達に忍耐強く日々接しているこんな人物ですら、自分の子供たちとの摩擦もあり、そして日々善き人間であろうと努力を惜しまない。
これは偽善なのか?演技なのか?そうじゃない。
目から鱗が落ちた気分だった。
善悪を見極めようと疑心暗鬼でいる主人公。多分彼は、自分の中にもそれを求める。だから、自分が望まないことを笑顔ですべきでないとか感じてるんだと思う。それも嘘のひとつだと。
これ、凄く良くわかるんだよね。まさにわたしは彼のようなタイプの人間だから…
この映画はね、嫌な言い方だけど、このホワイト社会をどう生きるかを今のわたしに教えてくれた。
番組のオープニングの定番をトム・ハンクスが実物のロジャースそっくりに演じ、映画は番組が作り出すミニチュアの街やキャクター達の世界に現実世界を入れ込んで映し出す。
そして、どうやらこの話は実話をもとに作られているんだね。映画でも登場するけれど、雑誌Esquireで1998年に掲載されて大反響を得た記事を書いた主人公に纏わる話らしい。
あなたの目にロジャースはどう映るだろうか。