Lilly

幸せへのまわり道のLillyのネタバレレビュー・内容・結末

幸せへのまわり道(2019年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

フレッドロジャーズは、凝り固まった人の負の感情を解きほぐす不思議な力を持っている。こんな温厚で癒しのチカラを持つ人が、いたとは!

ロイドは、フレッドと出逢い彼と交流するうちに、心の奥底に"気づき"を発見し、変わっていく姿が面白く、ワクワクしながら観た。

自分を傷つけた人を、「許す」ことは難しいと思う。負の感情は、表に出したくない分、どうしても気持ちを燻らせる。
それが長引くと日常メンタルまで下がり、良くないとわかりつつ。

ロイドは、過去の暗い記憶の中に父親を長く封印していた。
しかし、フレッドのセラピーのような会話で、徐々にとき解されていく。
彼の澄んだ瞳と、穏やかで誠意に満ちた言葉で語りかけたれたら、誰もが硬い鎧を脱ぎ捨て、素直な童心に戻ってしまいそうな気がした。

Daniel tiger は、子供時代のフレッドの負の感情を代弁している。(臆病、悲観的、不安)

普段人前では出せない負の感情を、ダニエルに代わりに語らせることで、自分の本心を正直に吐露できる。TVを見てる子供にも、そうしていいいんだよって、示してくれるし、子供達も安心して.各々お気に入りの縫いぐるみを通じて、弱音を吐ける。

彼の生前インタビュー動画を、YouTubeで見た。
どんな質問にも、言葉を選びながら丁寧に答える姿に、誠実で謙虚な人柄が垣間見れた。

また、そこに添えられる視聴者コメントが、温かくて、
I like just the way you are.
You are lovable.
と言う言葉に、どんなに背中を押されたかわからないとか、彼に対する称賛、尊敬、感謝の言葉が多数寄せられていた。
米国内での、彼の番組の影響力の大きさに驚いた。

時折りjokeもいれながら、穏やかで明るい笑顔で語り、腹話術やピアノも上手で、Won’t you be my neighbor? 番組内の歌も自身で作詞作曲してたみたいだ。

トムハンクスが、身振り手振りで話す自身の癖を必死に抑えて、フレッドの控えめで上品な語り口を演じたそうだ。
足の組み方、クローゼットに上着を掛け、ニットに着替える仕草も、完全コピーして、彼に見事になりきっていた。

人の善意と寛容を信じて、米国の子供達に語り続けたフレッドロジャーズ。
私も、幼少期にあの番組をリアルタイムで観たかったな。
Lilly

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