しゅんまつもと

殺さない彼と死なない彼女のしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

殺さない彼と死なない彼女(2019年製作の映画)
3.9
こんな世界で生きてれば死にたい理由なんていくらでもある。でも死ねない理由だって簡単だ。好きなものや好きな人がいればそれだけでいい。今日あった絶望の話は未来の話に変わるだろう。それは誰かと結ばれるという形にならなくてもいい。ひたすらに誰かを想ったり、「好きだ」と発するだけでも力になるはずだ。この映画はそういう力を信じてる映画だ。だからこそ、そういった「好き」がサークルになり巡る。花壇に埋めたハチも帰ってくる。

眩しすぎてむしろ靄がかった光、極端に人物に合わせたピントで背景はぼやける。これもまさに「好き」という想いを形にした映画的演出だと思った。劇場は若者やカップルでいっぱいできっとそういうポイントに違和感を感じるだろう。それこそが映画の魅力なんだと自分は思う。そういう意味でこの映画を全面的に支持したい。

しかし、終盤のある展開からは些かウェットすぎる気もした。これは好みなんだろうけど。いや、自分もばっちり涙をこぼしてるんだけど。自分はその前の地味子とキャピ子のシークエンスが好きだったので、それが一気に背景化してしまう感じが残念だった。奥華子の主題歌もあまりにウェット。ガーネットとやってること変わらんのでは?と意地悪ながら思ってしまった。