ぽち

ヘッド・フル・オブ・ハニーのぽちのレビュー・感想・評価

3.1
素直な心でサラッと観れば感動できるのだろうが、本当の痴呆症を知っている人はこの奇麗事には拒否反応を示すのではないだろうか。

10歳の子供がボケ老人と旅など完全なファンタジー。多分1時間と持たないだろう。ファンタジーと割り切れば、ニックの演技も良いし子役のソフィアも可愛く、軽くコメディータッチで纏めてあるので楽しめる。

ただアメリカでの評価は散々で、特に10歳の子供が単独行動していても誰も心配しないところが癇に障っているらしい。
これは多分脚本も手がけているのティル監督の倫理観と、今のアメリカの過剰と思えるぐらいの子供の防犯意識のズレからだろう。

日本人はアメリカほど神経質ではないので、今作に違和感を覚える人は少ないのだろうが、犯罪多発都市で生きているとこの子供放置がとんでもないことで、両親が罪に問われる案件らしい。

今作は元は2014年にティル監督がドイツで撮った映画のセルフ・ハリウッド・リメイク。
ドイツでは好評を得たが、まったくそのままの内容で役者と場所だけ変えたのが敗因だ。お国柄に合わせて子供の描写などは変えないと、下手すると野蛮人といわれてしまう。

個人的にはそんな神経質ではないのでそれなりに楽しめたし、現実の痴呆の凄さも知っているので、あくまでファンタジー・コメディとして御伽噺として観させてもらった。

一瞬の出演だったが、学校の先生役のクレア・フォーラニが久しぶりに映画出演していて嬉しかった。いつでも笑っているような瞳は相変らず魅力的だ。

さて、今作一番の驚きは子役のソフィアがニックの実の「娘」ってことだろう。孫ではなく娘だそうだ。
ソフィアの年齢を調べたが分からなかったのだが、作中どおり10才前後だろう。ってことはニックが70才前後の子供ってことになる。

おいおい、アルツハイマーどころか元気すぎるだろ!!!
ぽち

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