ワイカ

ザ・ピーナッツバター・ファルコンのワイカのレビュー・感想・評価

3.2
 憧れのプロレスラー養成所に入るために施設を逃げ出したダウン症の男性と、兄の死でヤケになり漁村から追われた漁師の男性が、一緒に逃避行するロードムービー。いい映画なのかも知れないけれど、正直言って退屈だった。

 まずダウン症役の男性が、顔も言動もあんまりダウン症に見えず、障害者と健常者のドラマという設定が逆に不自然に感じた。これなら普通に健常者同士のドラマにしてもよかったんじゃ。追われる立場の漁師が、足手まといになるはずのダウン症の男性と意気投合した理由も、描き方が中途半端でいまいちよく分からなかった。

 そしてこの手の映画にありがちな、障害者の理解者みたいなのを殊更に強調する偽善的ノリが、まったく好きになれなかった。障害者を描いた映画では「だれもが愛しいチャンピオン」の方が、障害者に対する健常者の意識を正面から描いていてよほど面白かった。これはたぶん、私の心に障害者への偏見があるからなのでしょう。

 全体的に雰囲気に頼った映画という感じ。最後のプロレスシーンはなんとなく面白かったけど、意味不明でそれまでのつまらなさを挽回できなかった。

 救いはダコタ・ジョンソンのかわいさと、シャイア・ラブーフの存在感くらいか。シャイア・ラブーフは、すっかり髭面が似合う渋い役者になったなぁ。

 追記)この映画って、このダウン症の男性自身が監督に映画に出たいと言って製作が実現したとのこと。そう聞くと深くて見方が変わるかも。でも、逆に言うと、そういうことだから純粋に映画としてはつまらなくなったのかも。
 
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