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サムライマラソンのkiritoのレビュー・感想・評価

サムライマラソン(2019年製作の映画)
1.8
【遠足(とおあし)】

「えんそく」ではない。
日本のマラソンの起源といわれている「安政遠足」をテーマに添えた史実に基づく物語。
監督はバーナード・ローズであり日本人監督ではない点には注意したい。

極めてつまらない。最後まで走り切る鑑賞は可能なのだが、テーマ設定がボロボロ。

安中藩主板倉勝明が藩士の鍛錬のため、藩士96人に安中城門から碓氷峠の熊野権現神社まで走らせた徒歩競走。
スタートが、安中藩に忍んでいた隠密(幕府に仕える)が、安中の殿が謀反を起すという誤った手紙を送ったことで、幕府から藩を取り壊すために刺客がくるので、帰りが戦になるという話。

そもそも史実に基づく物語の場合、脚色をある程度加えないと、淡々とした映画になるのは仕方がない。
この映画はそこが問題なのではなく、史実なのか、シリアスなのかふざけているのか軸が定まっていない点にある。
例えば、その最たる例が2度ある首切りのシーンなのだが、生首が吹っ飛ぶという1つ目はまだしも、2つ目の顔が笑うという謎描写は必要あったのか?
突然の熊出現など、おおよそストーリーを邪魔しているとしか思えない演出が目立つ。

また、マラソン1位を狙う侍、最速の足軽、密かに見守る隠密、城から出たい姫、首を言い渡された老侍、侍を目指す少年。
等々豪華キャストを使ったキャラクター陣も個性豊かで魅力的ではある。
ところが、このキャラクターたちが有効に活用できていない。
それぞれが相互作用を起こすのではなく、反発しあっている。特に、老侍と少年のセットが一番謎でこのストーリーに不可欠だったのかというと疑問が生じざるを得ない。
最後のゴールのシーンとか蛇足もいいとこだろう。

そして、なんといっても、一番の謎はエンドロールのあの人物たちの紹介だろう。

るろうに剣心に出ていただけに、佐藤健の殺陣は良かったが、せっかくのそのシーンも数分しかなくもったいなかった。

2019.2.22
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