陰謀論者X

彼らは生きていた/ゼイ・シャル・ノット・グロウ・オールドの陰謀論者Xのレビュー・感想・評価

4.0
これは‪……‬かなり重く響きました。
どんな地獄に叩き落とされるかなど全く想像出来ないティーンエイジャーが使命感にかき立てられて志願兵となり、僅か一ヶ月半の練兵でフランスの戦地に送られる。

泥と糞と死臭とネズミと毒ガスと鳴り止まない轟音の中、突撃命令が下りれば敵の機関銃弾のみならず味方の榴散弾の破片にも晒されながら敵の塹壕に飛び込んで殺戮の限りを尽くす。しかし捕虜となったドイツ兵には敬意を払い、打ち解けあってお互いに「この戦争は無益だ」と心の底から合意する。

戦地に到着してから着色処理がなされ、屈託なく笑う彼らと最前線で泥に埋もれている死体の彼らが映し出されるがあまりの現実感の無さにフィクションかと誤解してしまう。しかし、この地獄が100年前に4年間も継続したという厳然たる事実と、その僅か20年後には更に大規模な世界大戦が起きた事実に打ちのめされる。
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