ユウコリリーナ

ばるぼらのユウコリリーナのレビュー・感想・評価

ばるぼら(2019年製作の映画)
3.8
「都会が何十万という人間をのみ込んで消化し、たれ流した排泄物のような女
それがばるぼら」

なかなか衝撃的なモノローグから始まるけど、これは原作そのままなのですね (ちなみに未読、公式読本で知った)
とにかく映像がドストライク
夢か現かわからない世界で退廃的な美しさとそれに呼応するようなジャズの調べに浸った100分間
見慣れた東京の風景、歌舞伎町や池袋のいかがわしく雑多で小汚いところも、クリストファー・ドイルを通すと妖艶でとても魅力的に見えて、まるで知らない外国の街のようだった
そしてこの世界にメイン2人がめちゃめちゃフィットしていたのも良かった
稲垣吾郎さんはこのくらい非現実的な作品が合っていると思う
監督が舞台挨拶で「そこに2人が立っただけでこの映画が完成した」と仰っていたのも納得
濡れ場とか真っ裸は結構あるけど、アートっぽいのでそんなに気まずくはないかな (とはいえR15)
全体的にエンタメというよりアート寄りだと感じたので、万人にはおすすめしづらいのが難点といえば難点・笑
好きな人は好きな世界観だと思うけど
細かいことが気になる人には厳しいかなあ

作中に出てくるニーチェの言葉が、まさにこの作品を言い表しているのではないかと思う
「愛情の中には、いつも若干の狂気が潜んでいる。
とは言っても、狂気の中にもまた、いつも若干の理性が潜んでいるものである」

なお、画面でいちばん印象に残ってしまったのはギラギラガールズ
風景として映ってるだけなのに画面力も店名も強すぎィ

余談
立川シネマシティで観たんだけど、アプリで検索しても出てこないのが悲しいです(๑´•.̫ • `๑)
色々工夫して頑張ってる映画館だし、入れてあげてくださいな(´;ω;`)