感染症により１８０センチのソーシャルディスタンスを義務付けられている男女の話。
旧来の闘病モノと異なり、ＳＮＳや配信のおかげで今の物語として楽しめる。闘病仲間と繋がりがあるので閉塞感も少ない。映像も綺麗で、カスタマイズされた個室は奇跡を願っている主人公ステラの心象をよく表している。
堅実なステラと自暴自棄なウィルは良い対比になっていたし、交流によりウィルが前向きになっていくのは王道展開。配信動画で相手のことを知ろうとするのも現代的。難病持ちは明日生きられる保証はないけれど、健康だからといって長生きできるわけでもないのが非情でリアルだった。
良いところもあっただけに、後半は安易な感動モノにしようとして登場人物がバカに見えた。好きになったからこそ距離を取ろうとするウィルに対して、ちょっとくらいなら距離を縮めていいよねと言い出すステラはただの自分本位だし、そのせいでお互いを危険にさらしている。例え死期を早めることになっても今を生きたいというストーリーは定番だけれど、感染症においてそれはＮＧ。看護師さんの心労が大変すぎて患者よりも早死しそう。
近づきたかったらせめてマスクすればいいと思っていたけれど、コロナ禍より前に撮られた作品だった。そういう点ではかなり先見性があったし、感染症の知見がなければ多少印象が変わっていたかも。
