「コロニア」「コロニアの子供たち」でも描かれたコロニア・ディグニタ、そこから逃げた少女を描くストップモーションアニメ。
不気味すぎる世界観にやられる。
少女とブタがメインで出てくるが決して子供向けおとぎ話ではない。
はっきり明言はされないものの、チリの政府、ドイツ人、尊厳、コロニーという言葉が出てくるので説明がなくてもコロニアだと分かる。
(以前「コロニア」を観た時に知ったことも理解の助けになった)
常に何かが動いているストップモーションアニメ。実写だったらおそらくクローネンバーグの映画みたいになるであろう、ドロドロ溶けて変容する人間や生き物の姿、塗り変わり続ける壁や背景が脳裏に焼き付く。
そこに終始流れる耳障りな音(虫が蠢くような音も多用されて気持ち悪い)、パウル・シェーファーと思われる男の声、少女の悲痛な言葉。
これこそ、直接描写がなくてもその世界観と独特のリズムと音響と造形で恐ろしさが伝わるんじゃないか。