ごい

オオカミの家のごいのレビュー・感想・評価

オオカミの家(2018年製作の映画)
3.6
アリアスターがこの作品を非常に気に入り、最新作にレオン&コシーニャを招いたと聞いて、この映像体験のしんどさに納得した。
(Beau Is Afraidいつ日本公開ですか?)

本作はかなり抽象的で難解。コロニア・ディグニダについての事前知識があれば良いとは聞いてたけれど、極度に抽象化されているので、鑑賞後の勉強でちょうど良いかもしれない。
劇場パンフはビジュアルもコラムも相当充実していて、映画の理解を深めるのに役立った。小規模公開にも関わらず、このパンフの完成度は今年見た作品の中でもかなり上位だと思う。

自分の中のストップモーションの概念が崩れるほどに画面が常に流動的で、2Dと3Dが曖昧に絡み合っていた。そこに不気味なサウンドが相まって、異様な雰囲気を醸し出し、常に暗さと閉塞感、そして不安感を抱かせる。正直、観た後にしばらく気分が悪くなるほどダメージをくらった。

主人公はコロニアから逃げた少女マリア。彼女は逃亡先で子豚を"人間"として変容させるが、これは洗脳のメタファーで、カルト的に支配を受けた人々の再生産を象徴しているのだとか。せっかく逃げた先なのに、ずっと苦しい状況で、オオカミによる支配から逃れられない様子も伺え、不安感や閉塞感が常に画面を支配する。

同時上映された「骨」という作品も衝撃的な映像体験だった。
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