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松永天馬殺人事件のeyeのレビュー・感想・評価

松永天馬殺人事件(2018年製作の映画)
3.7
"松永天馬殺人事件" (2018)

冒頭より

「映画を殺したのが誰なのか」

「誰が松永天馬を殺したのか」

観衆に対し 哲学的な自問自答を繰り返す

松永天馬 氏 はメディアに出ることにより

生かされている

そして

殺されている

かつてフランスで見られた

堅実な掛け合いからの喜劇
猥雑なメッセージからの滑稽さ

笑劇としてのfarce(ファルス)

もう一つ

ペニスが肉体的実在として描かれる

男性器そのものが自身の象徴的意味を
伝えているphallus(ファルス)

自己の外に何かを求めている事象

その両方が組み合わさった映画を
小さな劇場でお目にかかるとは、、

松永 天馬 氏自身そのものが相当な芸術家で
内に閉じ込められない美学を解放している

氏はミュージシャンの第一線で活躍しつつ
同時に俳優活動も行なっている

加えて

自身が監督になり映像も撮り
脚本を書き 出演を果たしている

もはや多才すぎる

膨れ上がった自己承認欲求をコメディに
はたまた実験映画としてLIVEが行われる

観ていた映画の中にフィクションとして
"池袋シネマロサ" がスクリーンに映し出され

「これは、、もしや、、この展開は、、」

と なんとなーく考えていたことが
ラストには現実になって目の前で表現された

前列にやたら観客が多かったのも頷ける

なんとなく うだつが上がらない自分の
週明けの鬱屈さを吹っ飛ばしてくれた作品

"松永天馬殺人事件" は

音楽×映画の化学反応を目論んだMOOSICLAB2018にて選出された作品

男優賞・ミュージシャン賞受賞
そして何故か 松永天馬賞(?)を自身で受賞

劇中では軽快なカッティングギターに
ブンブンいってるベースに打ち込みのドラム

ファンクを基調としたノリに加え
映画館のハコの音響も相まって
ライブハウスのLIVE感が出まくっていた

同時上映されていた''脱がない男"では
劇場にてやはりLIVE感がモロに出ていた

(おそらく松永天馬氏が目指してたであろう…)

"4DIE X "と名うたれた今作
結末は ノリと喧騒にくくられていた

全国一般公開できないアノ演出

言い換えるなら For die とも言える

松永天馬 氏を殺した犯人

それは

密室の劇場にいた "観衆" 
すなわち "自分" ということか

仮にこの作品がDVDになるなら
ラストはどういう風になることやら

狂気の演出が映し出されるラスト必見
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