蜷川実花作品はリアルの追求はされないので、古い町並みやそのセットが「THE人工物」という香ばしさぷんぷんなのだけど、そこに少しばかり引っかかる度に「まぁ映画だからね、それはそれでそういう作り方も否定されるべきものではないもんね」と自分を納得させながら観る感じ。
でもストーリーや人物像にはその耽美な世界観が合っていたと思う。
小栗旬も似合っていた。
太宰治については、教科書に載っていた『走れメロス』でお腹いっぱいになってしまって他作品を読んだことのないスーパーにわか勢ですが、でも3人の女性たちの在り方はよく聞く話と同じだったので、一定の感情移入はできました。
美知子の覚悟がよかったな。
私は絶対に修治みたいな男性は嫌なので、どの女性にも共感することはできなかったけど、それでも彼女の涙にはちょっとぐっとくるものがありました。
修治も本当に特別に思っていたんじゃないだろうか。
最後の入水自殺の際も修治のものと思わしき下駄の摺り跡があったと聞いているし、本当に富栄とああいう会話がなされていたのかもなぁと思う。
なんともクズな男だ。
でも昔は、本当に自らまでも壊し、そのすべてをさらけ出さないと傑作小説なんて書けなかったのかも。
坂口安吾との小説家同士の会話シーン良かったです。
『人間失格』、読もうかな。