戦時下のドイツを明らかにコミカルにしていたのは、イマジナリーのヒトラーの仕業か、登場人物たちがマンガチックに個性際立つとりどりのキャラクターだったからか。
戦争というものも子供たちから観たら、おとぎ話の中にある一個の世界なのかもしれない。
というくらい、子供には世界がたくさんある。わからないという世界も含めて。
大人たちは戦争に身も心も浸ってしまうけど、子供たちにはイマジネーションがあるから、戦時下でもこの映画みたいに奇妙な明るさでもって世界を捉えて構築しているのかもしれない。
子供たちの世界は、いつもどんなときでもうっすらと明るいのかもしれない。
戦争映画なのに、こんなおとぎ話のような空気を紡ぎ出していることが新鮮だった。
監督兼ヒトラー役をやった彼の瞳の輝きをそのまんま映し出したように、最初はビートルズが流れる世界をジョジョが駆け抜けて、最後には踊り出す、そんな戦争映画があってもいいなと思わされた。