これこれ!
90年代から2000年代初頭にあった邦画の雰囲気!
今は久しく失われてしまったこのゆるさ。
あの時代に作られたものは、機械的じゃない人間の本質を映し出している気がする。
今はお馬鹿な人間よりもお利口にまとめられた人間が多くなったように思う。
ある意味スーパーコンピュータを搭載した人間のように、才能を開花させる若者がたくさんでてきたり。
それはそれで素晴らしいけども!!
だけど、この映画みたいに、人間が人間の熱さを持って世の中や人に対峙している姿を、あの頃の規制緩やかな気の抜けたサイダーみたいな世界と写し合わせると、これまた邦画の独特のエモさに繋がる。
2人の主人公がバタ足でもって一生懸命に足を動かしながら、少しづつ少しづつ金魚の歩みくらい僅かにだけども確実に近づいていく様子を見事に描いていた。
お互いに罵り合い、掴み上い、抱きしめ合う。
少女の大人びた身体が、太ったり痩せたりすることで、彼女の心象が揺れていることや大人に駆け上がっていく不安定な少女の季節を表していた。そこに無骨なまでにもう突進してくる少年が、彼女ごとロックンロールな世界へと連れて行ってくれる。
以前、友人が最近の音楽は音が細く小さくなったような気がするといっていたけど、
邦画の世界もそうだと思う。
おーらかに愚直な人間讃歌に、アマルコルドの世界に、私たちは、たち還りたい。