このレビューはネタバレを含みます
ウェス・アンダーソン的なノリでポップなナチズム少年を描く序盤。実は母親がユダヤ人を匿っていて、少年は差別的な視線や態度を彼女に送る中盤。戦争が間近に迫り、ナチスの手が家族の側まで迫る後半。非常に重たくなりそうなテーマだが、非常にコメディチックな緩い雰囲気で物語が進む。しかし、後半からの叩き込むような残酷な現実に胸が引き締められる感覚になる。
ヒトラーをこんな緩い感じで描いていいのかと思ったが、ナチス主義者の子供視点からは、ヒーロー的な存在を想像しているのだろう。日本で『オッペンハイマー』がなかなか公開されなかったように、ドイツでもこの作品は物議を醸す作品になるのであろうか。
しかし、人種差別をしていたジョジョが人間は皆同じだという事を理解していく。戦争という残酷で冷たさしか残らない事象の中でも、心を温めてくれる作品であると思えた。
