しゅんまつもと

ジョジョ・ラビットのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)
4.8
序盤、街を駆けるジョジョをを捉えるカメラは横方向に動く。とても平面的。

そんなジョジョに靴紐を結ぶ、イスに上ってダンスを踊るという動作でもって上下に空間の広がりを与えるのが母親(ときに父親)のロージー。とあるシーンで目を背けるジョジョを無理やり見上げさせてあるものを見せるというのもそう。しかし、それがとても悲しい形で反復される。

また、壁の向こうに住処を隔てることで空間的な奥行きを与えるのがエルザ。ノック、手紙、似顔絵が壁を越えることで二人が交わる。

そういう世界の広がりでマインドは変わっていく。結局これはある国を賛美した映画だとか、そんな悲しいこと言ってくれるな。線を引いて何かを蹴落としたりとかもうそういうのよくないですか。あのラストシーンを愛と言わずしてなにを愛と言う!!!!!!


映画の出来で言ったら「パラサイト」や「フォードvsフェラーリ」の方がきっと良くできてる。でも個人的には「ジョジョ・ラビット」や「ロングショット」のような超が付くくらいの理想を描く映画が好きなんだと思い知らされた。