敗戦前のナチスドイツをポップに皮肉っただけの映画と思って観たら、それだけではなくて、戦争の悲惨さや愚かさ、差別の酷さをとても端的に描いた映画でもありました。
前半は、ヒトラーに憧れながら臆病で優しいジョジョ少年を通して、ナチスの愚行をコミカルに描いた感じだったけど、後半はけっこうシリアスな展開に。かなり衝撃的な部分もあって、胸をえぐられました。ユダヤ人の女の子との触れ合いは微笑ましいかったです。
スカヨハの母親役も良かったけど、サム・ロックウェルが素敵だったな。この人以前は軽薄で胡散臭い役が多かったけど、「リチャード・ジュエル」といい、最近イケてる役多いですね。
残念なのは台詞が英語だった点。劇中のビラやポスター、ビートルズやデビッド・ボウイの曲はドイツ語だったんだから、セリフもドイツ語でやれば良かったのに。ハリウッド映画だからしょうがないのかな。
あと、ああいう酷い話をこんなにかわいらしく描いていいのかな、という違和感を少し感じた場面も。子供が観たら間違ったメッセージとして受け取りそう。ブラックユーモアって子供が絡むと笑えなくなるのかも。
とはいえ、ナチス映画としては見やすくて純粋に良い映画だと思いました。