鮃サブロウ太

新聞記者の鮃サブロウ太のレビュー・感想・評価

新聞記者(2019年製作の映画)
1.0
昨今のウンザリする政治状況に尾鰭をつけたような映画で、観終わってどっと疲れた。
仮に本作が5,6年前に作られ公開されていたとしたら或いは再公開必至の話題作になったかもしれないが、事後的にそして恣意的に作られた印象を拭えず、何よりも素材の出涸らし感がひどい。
そうなると、たとえば一昔前の金環蝕のように腰の据わった重厚感があれば又別の味わいも生まれただろうが、本作はいかにも軽い。
映画のなかで起きている事は十分シリアスでも描き方が浅いとこうなるというお手本のような作品だと思う。
とにもかくにも素材も味付けも全く好みに合わなかった。新しい物語、創造性が微塵も感じられない。唯一、真の黒幕、巨悪が一切出てこない演出は斬新だと思ったが、そういうものを仮に登場させていたら平屋の家に2階を増築するお神楽普請のようになり建物(作品)自体がもたなかったと思う。
尚、蛇足ながら小生自身はここ数年の国政選挙では一貫して自民党以外に票を投じている。念のため。


【2020.3.7追記】
本作が日本アカデミー賞最優秀作品賞と聞いてびっくりした。
重いものを重いまま、暗いものを暗いまま差し出しただけの何の工夫もない映画にしか感じられなかったが、周囲の評価もそれなりに高く私の感性に問題があるのかも知れない。