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劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~のamuのレビュー・感想・評価

4.0
天空不動産版のドラマでどハマりした右にならえな口とはいえ(ドラマ第一話のラストシーンで雷に打たれんばかりに落ちた!)、インザスカイには全くハマれず、また初代おっさんずラブには我らの落合モトキが田中圭さんの相手役であるにも関わらず、これもハマれず(なんとなく女子感ある男性がやっても面白くないのかも、だから千葉雄大さんにも志尊淳さんにもキャラ性としての面白さというか魅力が他のキャラに比べるとやや感じられなかったのかもしれない。演技はバッチリですけどね。)、詰まるところ、牧くん演じる林遣都さんの完璧な演技力と愛くるしさ、また吉田鋼太郎さんの実力たるやという思い。双方が存在し、かつ春田演じる田中圭さんを取り合うところにある笑い、双方の春田を想う思いに共感力を伴った切なさ、併せて周囲を取り巻く人間の魅力とキャラクター性。爆発的ヒットをした理由を挙げればキリがないほどにあるけれど、とにかく展開の妙と愛おしい人間性がキラリと光る好きな作品です。

笑ってきゅんとして人を想う気持ちに共感して切なくなって涙も出ちゃう、哀しい涙じゃなくて恋焦がれるような切なさで泣かされるお話は、ましてやドラマではめずらしいと思う。狂おしく切ないものはあっても、コメディ作品で恋愛話に笑い泣きしちゃうようなものを表現するのは難しいように思うし、なによりこれは男女の話ではない。なのに特にBLファンという訳でもない私でも夢中になって二人の幸せを(部長ごめんね)また世のおっさんずラブファン皆が願ったと思う。こんなドラマ無いよ!笑 そして、大ヒットしたテレビドラマがすぐやるほにゃららthe moveてホントげんなりするんだけど、まぁげんなりした分、今になって観ました。笑

そんなわけで、フィルマークスのレビューは映画だけと決めていた当初、唯一「おっさんずラブ」のことだけ例外として書いたほどにこの作品と、そして推しであるマロくんが好きな私です。

多くのレビューにもあるように、主要キャラ全員が介するサウナシーンがまぁこの映画作品の一番の見どころでしょうねー。すっごいですもんね。ネタバレなんかしなくても、未見であってもドラマファンの方はおそらく間違いなく面白いシーンだということが容易に想像つくと思います。未見の方はお楽しみに。裏切りませんから。そう、なんか、裏切らないし、いい裏切り方をしてくれるんですよね、おっさんずラブって。そのいい裏切りを受けた時にきゅんとなったり、笑いがある。

でもこれは映画、ほにゃららthe movieのパターン。なので、展開はそれなりですが、そういう場でこその裏切らない役者陣にここでもたくさん楽しませてもらえますので、私のようなドラマファン、映画版は観なくてもいっかな、という人でも、ここにしか無いきゅんとするシーンが溢れていますし、笑いもありますので、観る価値はとてもあります!まだの方にはおすすめします。

牧くんまた一段と可愛くなった気がするし、春田が本当に牧くんを大好きなのがたくさんの嫉妬というかたちで出てきて、ドラマでは嫉妬するのは牧くん、部長の方だったのに、春田がそういう感情になるところに二人の時間の経過や、春田の感情の変化(付き合いが長くなって片方が家族になりたいと思い、片方は仕事に夢中とか。)を感じさせてくれたりもして、ますます男子(おっさん)同士の話なのに、いや、男子同士だって、男女だって、人を好きになるとはこういうことだよなと思える。二人にはキュンとされっぱなしなのはもちろんですが、はぁ~~ やっと、ここで、マロくんの話!笑

もうとにかく蝶子さんを大好きなマロくんの愛おしさったらないですよ。屋形船での「いいよー」「大好き」もたまらないのだけど、その手前の酔い止め飲む?に対する「うん…」の、うん、がもう最高に可愛くて100回くらい観たし、部長に嫉妬して切なげにしているマロくんの表情にやられます。笑

蝶子さんが年下過ぎるマロくんに本気にならないようにしてる様を描いたスピンオフ観たいくらいです。制作スタッフさん、ぜひ作ってください~~

結果、私は、プライドだとか格好悪いからだとかで本心を隠す傾向にある生き物である男性が、その本心を剥き出しにしてくれること、それを惜しげも無く見せてくれるところがこの作品の最も好きなところなのだと思う。すごいぐっときますし、ときめくし、心を動かされる。基本、人間なんて男女関係無く嫉妬をする生き物だし、だけど平気なフリをする。ある程度は。この位では嫉妬なんてしないさという広い心を持ち合わせた自分でありたいし、実際相手にぶつけるものじゃない。かといって自分の中で消化しきれない時だってある。それを比較的男性は見せずに振る舞えるパワーを持っている気がするのだけど、この作品に登場する男性は皆、自分の感情にとても素直、そのあたりが恋する乙女にしか見えない部長であったり、手の届かないような存在に恋する牧くんや武川さんや、マロくんだ。想っている相手と一緒の時間を過ごしている時の彼らは一様に心底幸せな顔をしているし、片想いの辛さで嫉妬もしてしまって苦しいときは、本当に辛そう。これはBLストーリーではないんです!、、と、つい熱くなってしまいましたが、春田の「牧ってベビーカステラみたいな顔してるよね。」を思い出すだけで顔がほころんで今日一日幸せに過ごせそうなくらい、あたたかい気持ちになれちゃう、おっさんずラブほんと最高です。
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