rhum

屍人荘の殺人のrhumのネタバレレビュー・内容・結末

屍人荘の殺人(2019年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

「浜辺美波、どちゃくそかわいい!」を核に据えた、エンドルフィン分泌過多ラブコメディ。

大胆にも、ミステリーとゾンビを無理矢理ガッチャンコした結果、立ち現れたのはジャンル映画の快楽などではなく、テンプレ的舞台立ての中で営まれる「"極限状態"の密室で好きな子とキャッキャウフフする楽しい探偵ごっこパーティー!」の多幸感。設定ガバガバ&展開ゆるゆるのぬるま湯的展開になればなるほど、なぜか高まる密室パーティーの楽しさ。

しかし、物事そう簡単ではない。
躍動するどちゃくそかわいい浜辺美波の姿を😍な顔して執拗に視線視線視線で追いかけ回す神木くん。
ご褒美にはキスをと言われ、神木くんは彼女の言いなりになりワンワンと尻尾振って努力するが、その約束は空手形でしかなかった…オーマイガ。
一方、どちゃくそかわいい浜辺美波は、謎解きを通じて信頼し合える理解者としての関係性を神木くんに求めるが、彼は謎解きの助手にはなれないとそれを何度も拒否!

あぁ叶わないご褒美キス。あぁ叶わない相棒としての関係性。好き同士なのに、お互いの求めるモノの違い。幼き恋のすれ違い。あぁもどかしい!

探偵ごっこパーティーが終わった後、2人のすれ違いはバッドテイストなラストで可視化される。ずっとスウィートだった物語が急に苦味を帯びたと思いきや、そこで唐突にプツリと映画が終わる。それがとても心地良い。
幸福な時間はいつまでも続かないのだ。だからこそこの作品は、2人の探偵ごっこ(≒イチャイチャ)を周囲のキャラにメタ的にツッコませつつも「限られた時間の中、全ての疑問を体裁良く解決する必要なんてない。そんなことより目の前の好きな人と一緒に何かに夢中になれる今この時間こそ大切じゃん?」とでも言うような開き直りの態度(?)を尊重する。それが意外と胸に刺さるのだった。生温い多幸感。
rhum

rhum