エス

ギレルモ・デル・トロのピノッキオのエスのレビュー・感想・評価

4.8
”幸せだった、だからこんなに悲しいんだ。”

なんだこれは……美しすぎるだろ………
洗練された音楽に、ストップモーションと知り驚愕した細部にまで拘りが施されたアニメーション、マジで豪華な声優陣。

そして、ギレルモ監督は人間の業というものに本当に誠実で、自分らしさを貫く事の尊さから、生と死、人間が為せる善し悪しの魅せ方がほんとに素晴らしい。だからこそのこの切なさ、儚さが染み渡る余韻が心地好い。物凄く心が洗われた気がします。

人間として、生きてる中で不本意に相手を傷付けてしまうことがある。それはどんな立場でも変わらなくて、それを親子として描くことで救われる魂がどれだけあるだろうか。そこが自分にとっては凄く刺さった部分でした。最後に監督自身が両親に捧げてるのもじーんと胸に来るものがあります。

あの死後の世界もめちゃくちゃ美しかったし、今作を世に送り出すまでに15年もかかってるのはやばすぎる。メイキングも好奇心を存分に掻き立てられます。本当にこだわり尽くして新しい世界を魅せてくれるギレルモ監督がめちゃくちゃ好きです。

サントラもどれも素晴らしく、個人的にはユアンの歌声が大好きで、”Better Tomorrow”は最近の一番のお気に入り。心の底からこの作品に出逢えた嬉しさを噛み締めちゃってます。何度でも見たい。
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