さんぺい

天気の子のさんぺいのレビュー・感想・評価

天気の子(2019年製作の映画)
4.9
美しい雨と街の描写×セカイ系×キミとボクの距離×RADWIMPS
新海誠の好きなものと強みを全て詰め込んだ作品。

「お前らこういうの好きなんやろ?」ってニヤニヤしながら作ってるんだろうなーいいなーって思った。
前作の大ヒットぶりに色んな方面からの重圧を背負いながら、随所にスポンサーの金の匂いを感じさせつつ、好きな物をしっかり詰め込んで新しいものづくりしてるのは本当にすごい。

これが公開された今年の夏の関東地方は奇しくも雨ばっかりで全然晴れ間がない。「新海誠持ってるな」って思わされる。
思わず劇場を出て空を見上げて祈っちゃいました。

1000回ぐらい言いたいけど、ほしのこえ時代からのファンとしてはここまで世間を騒がせてることに寂しさを感じつつ、超応援してます。
短編でもいいからあの頃みたいなバッドエンドで虚無感に襲われたいなぁ。

肝心のストーリーに触れておくと、一言で言うならオトコノコの目線で描かれたご都合主義的セカイ系ラブストーリーです。

偶然可愛い女の子(しかも歳上のおねいさん)に助けられ、再会し、いつしか身近な存在になってて、結ばれるかと思いきやすんでのところで実は彼女が世界の運命を握っていることが判明し、離れ離れになるんだけど、幾多の障害を乗り越えながら勇者となって姫を救出し、でもそれぞれの人生を歩むと見せかけて最後にハッピーエンドが待っている。(ただしその後の幸せな日々は観客の想像に任せる)

観てる最中はあんまり違和感を感じなかったけど、よくよく考えると男にとって都合良くできた話だなあ。
特にフェミニストな女性から観るとどんな感想なのか聞いてみたい。
ただその偏りこそが芸術の面白さなんだろうな。
さんぺい

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