天気の子の暮色涼風のレビュー・感想・評価

今回も画力には圧倒される。
特に、東京にありがちな、廃れたビルの屋上に追いやられたこじんまりした神社の美術が良かった。

しかし、童貞臭さと中二臭さとRADWIMPSのPV感が、観ていて辛かった。



『千と千尋の神隠し』にインスパイアされた演出が多々見られる。
ハク似のイケメン弟先輩や、装備なしスカイダイビング。

ハク似のイケメン弟先輩は、癖のある性質を備えているキャラクターであるのにもかかわらず、主人公と一悶着あったり敵対したり衝突することなく、初めから理解ある協力者となっていて、このキャラクターが好きな人は好きだろうが、ストーリーとしては必要な人物に成り得ていない。

スカイダイビングのシーンは、着地はどうなるのか気になるところ。『千と千尋の神隠し』での千尋とハクが地上に降り立つシーンではふんわりと着地が描かれており、『猫の恩返し』では大量のカラスが足場になって降りられる。『魔女の宅急便』では箒。
『天気の子』では着地シーンを見せず、"気がついたら地上で寝ていた"という、あやふやに繋ぐ場面が多かった。必ずしも描写せず観客に想像の余地を与えるというのは良いが、それとは違う。描写不足によって、この不思議な現象のリアリティが欠けてしまっている。