Jun潤

2分の1の魔法のJun潤のレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
3.7
2022.04.10

目指せPIXAR制覇第4弾。
現状一番最後に劇場で公開されたPIXAR作品。
日本語吹替版キャストは志尊淳×城田優。
原題は『ONWARD』(訳:前へ)。

かつて魔法が存在した世界。
科学が発達するとやがて魔法は無くなってしまった。
そこで暮らすエルフの少年・イアン。
彼は亡くした父・ウィルデンの思い出に想いを馳せ、空想と古代が大好きで粗暴な兄・バーリーに辟易としていた。
しかし誕生日を機に父のような立派な人になろうと決意する。
イアンは誕生日パーティーにクラスメイトを誘おうとするが、バーリーの茶々が入って徒労に終わる。
その日、ウィルデンが遺した魔法の杖を母から受け取る。
父を1日だけ蘇らせようとするがバーリーは失敗してしまい、イアンが試すと父は蘇った、下半身だけ…。
イアンとバーリーはもう一度父に会うため、もう一度魔法をかけるべく、魔法の石を求めて歴史に基づいたゲームを手がかりに大冒険を始める。

兄弟2人と父親(半分)によるコメディ冒険譚。
エルフにケンタウロス、マンティコアやピクシー、そして魔法と、ファンタジー世界観モリモリなのに車やファストフード、携帯など近代技術もマシマシな不思議な世界観。
その魔法を起点として父母から子への愛、兄と弟の絆、今は忘れてしまったかつての自分、自分に本当に出来ることを知って成長していく。

法を犯してでも父に会うために前へ進む!な感じが、若干悪い意味で、ディズニーらしさがありましたね。

ラストは大冒険の〆に相応しく、巨大なドラゴンと戦うという、積んできた描写を回収しつつド熱い展開で押し勝ついい展開でした。

キャラクター的にも慎重派なイアンと直感的なバーリーのチグハグでデコボコな感じが実際の兄弟のようで、喧嘩しながらなんだかんだ仲良くやる様もそれっぽい普遍的な雰囲気が出ていましたね。
バーリーの、弟の、そして自分の願いのために苦労して修理してきた愛車のグウィネヴィアを手放したのも感情が解き放たれるいい場面でしたし、その最期もまたタイヤがパンクして馬の足音に聞こえたり貯まった違反切符が舞って翼になったり実際に空を駆けたりと演出が凝っていましたね。

邦題の『2分の1の魔法』というのも、兄弟2人揃って一人前という意味にも魔法ともう半分を勇気で補うという意味にもとれてまたよかったですね。
原題訳日本語訳の「前へ」というのも、後ろを振り返ることなく突き進んでいく、2人の冒険の様相を一単語で表しているのがもう素晴らしいです。

演技については志尊淳はいい非声優キャストな感じで、俳優の顔が浮かんでくる演技でした。
城田優はこれで声優じゃないの?てくらい自然でしたね。
ハリセンボン春菜は肝っ玉母ちゃんな演技は良かっただけに、真剣な時に違和感があったのは気になりました。

亡くなった人は還ってこないけど、遺された人は自分以外にもいる。
その人と、取り返せない思い出を新しく作っていけばいい、そんなメッセージもありました。
Jun潤

Jun潤