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2分の1の魔法のmarimoのレビュー・感想・評価

2分の1の魔法(2020年製作の映画)
3.5
深読みしすぎかもしれませんが、これなかなかに気色悪い作品です

普通にネタバレですが...

一見、兄弟愛?家族愛?を描いているように見えて、本質は「家族」という自分には選択権の無い呪縛と向き合う話です

原題のonwardは「前に進む」という意味らしい..

普通に意味を考えれば消極的な弟が変わろうとする物語なのだろう...結果としては家族という呪縛を抱えながら、自分のやりたい事と向き合おうという物語

そもそも、本当に前に進まなければならない兄については結局は弟の庇護のもと暮らすだけなのだから

明確に描写はされていないですが、おそらくこの兄...ニートでオタク..更にはコミュニーションにも難がある厄介な存在である

社会に適合出来ずに現実と空想の区切りをつけられない重度の厨二病

その裏付けとして家族以外とはまともな会話をする描写が一切ない

家族である以上、弟はこの兄の将来すらも考えなければならない...呪縛である

兄が父の代わりのような存在だった記憶
...美化してでも兄の存在を認めて受け入れなければいけない

弟は家族のもとを離れても独り立ち出来るが、この兄は違う

父親との再会シーンで、弟は石の隙間から見てるだけ...これは弟が最終的に決めた兄や父親との距離なのだと

ドラゴンと戦ったのは母と弟のみ
この家族を守るために命をかけるのはこの2人だけ

父と兄は自分を守ってくれない

最終的に兄の引きこもり生活を弟も認めた...覚悟した瞬間なのかと

兄の生き方を肯定した訳では無い、兄のような存在をも自分の一部として受け入れなければいけない家族という存在への理解

これは教訓など何もなく、抗うことのできない家族を受け入れる覚悟の話
ディズニーとピクサーによる現代の新たなお伽噺なのだと
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