matchypotter

決算!忠臣蔵のmatchypotterのレビュー・感想・評価

決算!忠臣蔵(2019年製作の映画)
3.4
《侍の映画》、Vol.3。『決算!忠臣蔵』。

昨日観た『四十七人の刺客』と同じテーマ。
赤穂藩の吉良邸への討ち入り。赤穂事件。

同じテーマで、同じ歴史上の人物で、同じ筋書きで、こうも変えられるとは。

とにかく、移動するにも、住むにも、準備するにも、生きるだけで、お金はかかる。

これはこれに限ったことではなく、時代は変われども変わらない話。世の中、金。
討ち入りするにせよ、しないにせよ、お金はかかる。

厳かで、心穏やかではない討ち入りである一方で、そこに行き着くまでの心穏やかではない財政難。

お上から家禄を取り上げられ、赤穂藩士が、全員いわゆるフリーター状態。
赤穂藩でそれまでに貯めてた貯蓄を切り崩しながら、討ち入るのか討ち入らないのか、討ち入りたいのか、討ち入りたくないのか、すったもんだの金勘定の時代劇エンターテインメント。

さすが松竹らしい映画。

吉本興行も参戦しているだけあって、吉本芸人のなかでの演技派がこれ見よがしに集結。
本筋の役者にそれがさらに加わって、大盛り上がり。
しかも、横山裕、ジャニーズも加勢。

厳格で、センセーショナルで、歴史的に波紋を呼ぶクーデターみたいな逸話を、どこか拍子抜けるテンションと、なし崩し的に討ち入りに及ぶ、やたらと武士の現実的な財布事情と心情を描く。

確かに、先人たちが残した書物や参考文献では、美談になったり、そこには書かれないエピソードもある。
書く人がどっち側かによってもニュアンスが変わる。

あの四十七人が、吉良邸に乗り込み、命がけで吉良の首を取り、主人の無念を晴らす復讐劇。

実際は意外とこんな感じかもしれない。
そうではないかもしれない。
それは、その時代を生きた人しかわからない。
でも、どっちであっても、その事実は変わらない。

立て続けに『四十七人の刺客』と本作観るとそう思える。
同じ話でも色んな側面があって、どこに着目するかで伝え方が変わる。

とにかく、何をするにも、世の中、金、だ。
それは今も昔も変わらない。

阿部サダヲ、本作における浅野内匠頭として一瞬で存在感を残す。スゴいインパクト。

その妻、石原さとみと、大石内蔵助の妻、竹内結子も、むさ苦しい男たちがひしめく中で数少ない綺麗どころとして最高。

そういう意味で、妻夫木聡、石原さとみ、竹内結子、この辺が出てくるシーンは特にシーンとして緊張感の違いが伝わってきた。

元禄15年12月14日、赤穂事件。
赤穂義士の吉良邸への討ち入り。
そして、その後の切腹、家族関係者その他へも波及するその処遇。

切り口と描き方で千差万別。
matchypotter

matchypotter