ピレネー犬727

決算!忠臣蔵のピレネー犬727のレビュー・感想・評価

決算!忠臣蔵(2019年製作の映画)
3.0
2019年の作品なのに、竹内結子、上島竜兵、原作者の山本博文東大教授と、本作に関わった方のうち気付いただけでも既に3人が逝去されているのが驚き。特に竹内結子さんは本作でも大石内蔵助の妻役を美しく好演されていただけに、重ね重ねも残念。

さて、本作はお馴染みの忠臣蔵ながら、討ち入りシーンが無く、赤穂浪士の資金面に焦点を当て、何か購入したり遠出したりする度に現在の円換算でいくら掛かったかを字幕で表示していくスタイルなのがユニーク。表示された中でも、大石内蔵助が年収約7千万円も貰っていた事や、お妾が3人いてそれぞれに退職金180万円を払ってあげていた事、それに討ち入りの日程も資金が足りなくなったために殿の命日の3/14より3ヶ月早い12/14になった事、などが特に印象に残った。

ただ、何かする度にいちいち画面中央に大きく◯◯円と表示されるため、江戸時代の世界観に没入出来ず、その都度現代に引き戻されてしまうのが残念だった。特に中終盤からは◯◯円がゲーム画面のような蛍光色の文字になったり、劇伴が電子楽器を使ったり、放送禁止用語を喋る度にピー音で消す悪ノリまで加わるため、そのうち四十七士がスマホで討ち入りの相談をしだすのではないかと不安になった。衣装やカツラ、小道具などはかなり頑張って当時を再現していたので、中村監督にはもう少し悪ふざけを抑えて観客が江戸時代の世界観に没入出来るような工夫を凝らして欲しかった。

アマプラ終了間際のため視聴したが、映画はやや残念な出来だったため、原作本の「「忠臣蔵」の決算書 」(新潮新書)の方を強くお薦めします。

〈印象に残った台詞〉
・気い抜くと銭はどんどん消えてきまっせ

・お上は大名潰しの名人や。そないなことも分からず殿はお取り潰しの口実を与えてしまった。赤穂は儲かる。あんな良い塩が取れる土地を幕府が簡単に手放すはずは無い

・侍の大事は死に時、死に場所