滝井椎野

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネスの滝井椎野のネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

サム・ライミ成分がこれ以上無いほどに濃厚。MCUにおいてもその持ち味を失わないどころか、あの壮大な世界観を寧ろ呑み込んでいるのが流石だった。

『死霊のはらわた』なんかを観てもそうだが、ベタベタなホラー演出と明後日の方向に面白い演出描写が妙味で、本作ではクリスティンが悪霊を相手取るシーンや、ストレンジが悪霊を纏いながらワンダのもとに向かうシーン等にそのケレン味を感じた。なんとも格好いいのである。

本作はホラー映画としても良く出来ており、ワンダの迫ってくる様は特にハラハラしながらみていた。特に、あのイルミナティが成す術なくやられていくシーンの絶望感は凄まじく、最後プロフェッサーXがやられたシーンはいくらマルチバースとはいえ、X-MENシリーズに親しんでいた人間としては悲しかった。それにしてもそれぞれ死に方がまた怖かった……。

ストレンジのアクションがやっぱり格好良く、特にあの音符を飛ばして戦うシーンは演出も相まって素晴らしかった。やはり真似したくなるアクションがある映画は良い。アクションといえば、アメリカ•チャベスの攻撃の度に出る星マークも格好良かった。彼女のキャラクターも今までシリーズにいなかったタイプの可愛らしいキャラで良かった。ドラマのミズ・マーベルといい、新風を吹かせてくれそうで今後のシリーズが楽しみである。

最後の最後、本作のズルいところがブルース・キャンベルだろう。『死霊のはらわた』よろしく自分自身と戦っているシーンにあのラストである……。(あれ……? もしかしてこれ、今まで観ていたのは『死霊のはらわた4』だったのか?)と思ってしまったほど。つまり最高であった。
滝井椎野

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