シネラー

黒い司法 0%からの奇跡のシネラーのレビュー・感想・評価

黒い司法 0%からの奇跡(2019年製作の映画)
4.0
気になっていた作品だったが、
ようやくの初鑑賞。
晴れやかになる映画ではないが、
この酷い現実が今も世界の実態として
ある事を知れる良い映画だった。

1980年代のアラバマ州を舞台に、
黒人の被告人ウォルターの冤罪を
証明する為、新人弁護士ブライアンの
奮闘の日々を実話に基づいて描いた
作品だが、
歴史的ドキュメントという印象が強く、
鑑賞後の気持ちとしては、
この出来事に対しての安堵感と
現在と大して変化していない人種差別
への危機感が残った。
被告人であるウォルターだけでなく、
弁護士であるブライアンに対しての仕打ち
も酷いと思う部分が多々あり、
面会の場面や車を停車させられる場面
は、絶句するしかない場面(真実)だった。
又、ウォールターと共に収監されている
囚人達のやり取りで儚い部分もあり、
だからこそ結末部分では尊く感じられた。
又、マイケル・B・ジョーダン、
ジェイミー・フォックス、
ブリー・ラーソンといったキャスト陣
も素晴らしく、
誇張され過ぎない作品の雰囲気を
保っていて良かった。
エンドロールで語られる後日談や
実際の映像を観て、
本当にその冤罪で収監された被告人の
損なわれてしまった日常が感じられて、
胸が締め付けられる想いになった。

現在においても
冤罪や不当逮捕は起きている為、
進歩のない歪んだ司法や正義には憤り
を感じざるを得ないが、
その差別を産ませる価値観や偏見に
疑問を投げ掛けられて考えない限り、
差別は続くだろうと思えた。
あってはいけない差別意識を
自分が絶対に持っていないとは
言いきれないが、
自分の行いは必ず自分に返ってくると
戒めながら、
自分の芯をしっかりしなくちゃいけない
と思う鑑賞だった。
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