SANKOU

火口のふたりのSANKOUのレビュー・感想・評価

火口のふたり(2019年製作の映画)
4.6
深く愛し合っている者同士が必ずしも結ばれるとは限らないのと、体の相性が最高でも関係性が続くとは限らない。
賢治と直子はいとこ同士でありながら、一時期恋人同士の関係でもあった。
そして直子の結婚を聞いた賢治の帰省が再び彼らを引き合わすことになる。
夫となる男が出張先から戻るまでの、そして式を挙げるまでの五日間、彼らは体を何度も重ねることになる。
性描写がとても生々しい作品だが、彼ら二人の関係性がリアルで今まさに画面の中で二人が生きているのを肌で感じるような体験だった。
特に直子役の瀧内公美の解放してすべてをさらけ出した姿がとても良かった。
裸を見られても平気、何をしてもされても恥ずかしくない、理屈ではなく、何故か心を芯から許せる相手に出会えるのは本当に奇跡的なことなのだと思う。
その分お互いに深く傷つけ合いもする。
さっきまで楽しくしていたのに、ふとしたきっかけからとんでもない大喧嘩になるのも男女ならではの感覚の違いもあるが、実はお互いを心から許せているからなのだろう。
終始二人だけの世界が続いていくが、演出がしっかりしていてとても見応えがあった。
愛の物語でもあり、東日本大震災の爪痕を感じさせる物語でもあり、これから日本が自然災害だったり戦争だったりで、ある日突然日常が壊れてしまうかもしれないことを示唆する物語でもあった。
SANKOU

SANKOU