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テリファイドのizuのレビュー・感想・評価

テリファイド(2017年製作の映画)
4.7
Terrified=怖い
ブエノスアイレスのとある住宅で次々と怪奇現象が起こり、ある警察官と怪奇現象の研究チームがその家を調べるアルゼンチン産のホラー映画。

これは凄い、本当に凄い。この映画はとにかく恐怖描写・演出に特化していて、この怪奇現象や恐怖の原因は何も明かされる事はない。ないのだ!!そしてストーリーも特にない!!!!ないのだ!!!!!!!!

下水溝から声が聞こえる。隣から壁を叩く音が聞こえる。事故で死んだ子供の死体が動き、家に帰ってくる。手には土を掘ったであろう痕跡。
ベッドの下に誰かいる。ベッドの下から出てきた何者かが家をうろついている。ペタペタペタペタ、足音が止まらない。カメラで自分が寝てる所を記録してみると...?
次々とノンストップで恐怖が襲い掛かる。無駄な会話、目の前の出来事から脱線するような事は一切無く、ずっとその家について話して、その家を中心に映画は進んで行く。

身近な恐怖、じわじわとくるもの、ベッドの下に誰かいるとか、家を知らない誰かが歩いているとか、’’得体の知れない何かが身近にいる恐怖’’。
そのじわじわとくる描写だけでなく、ホラー映画にしては派手な演出の数々で魅せる。正直派手すぎてぽかーんとしてしまった所も多々あるけれど、それはそれで映像として面白い。ホラー映画としても新鮮。特に序盤の風呂場とか掴みはバッチリ。

何故?どうして?原因は?正体は?
これらが解明されない事を気にかけてしまう人にはオヌヌメできないどころか、観て欲しくないくらいの作品。
私はホラー映画で下手に「この怖い家にはなんとか家の悲劇が~」とか「実はこの悲劇(恐怖)の連鎖には何々が関わっていて~」とかいう展開があまり好きでは無く、’’何か’’の正体が何なのかわかってしまうとすっごい冷めてしまうタイプなのでこれはとても好きでした。
だって、恐怖とは未知から来るもので、その恐怖の根底に何があるのか、何があってこのような存在になってしまったのかを理解してしまうとそれは既知なる存在になってしまい、未知なる恐怖では無くなってしまうから。

この映画には主人公が不在なのも凄い。ホラー映画においての主人公って、感情移入するのも多少あるかもしれないけど、大体は’’物語の主人公’’として観てしまうから。この映画には主人公が居ない事で、それぞれに起こる怪奇現象を「主人公だからどうせ死なない」とかそういう余計な思考は無く、真正面から恐怖と向き合える。たいした個性も無く、その人物の人柄も知らないからこそ自身を投影できる。
特にベッドの下に何かいる...という所は本当に「こんなことがあったら嫌だな」という気持ちを彷彿とさせる。

とにかく怖いモノを観たい人にオヌヌメ。ジャンプスケアも下手に多くなくて、「あえて使わない」所もあった。これほんとよく出来てるよ。あと何気に子供の死体のクオリティが最高。子供の死体だって下手に動かすわけでもなかったし、この映画には本当に下手な演出が無い。

あ~、ホラー映画って面白いなあ!!

視聴 2023年11月11日
izu

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