風来坊

クーリエ:最高機密の運び屋の風来坊のレビュー・感想・評価

4.0
「感情を制御して周囲を欺け」派手さは無いですが、スパイの危険性や苦悩と世界の終焉立ち向かう男2人のスリリングな物語。

全く境遇が違う2人が難局を打開するために手を取り合い、そこから生まれる友情と絆が非常に胸を打ちますね。
韓国映画の「工作」に似た感じのお話ではありましたが、静かな流れの物語構成でありながら緊迫感が溢れています。

軽そうに見えてインテリジェンスが溢れている主人公を演じたベネディクト・カンバーバッチさんの熱演が素晴らしい。
最初はそうとは知らずに軽い気持ちで関わり、事態を知って世界の終わりに向き合う。
そりゃあ誰もが自分を疑っていると思ったら正常では要られないよなぁ…。
ただ家族が大事と言っても、過去に浮気をしてるんじゃ説得力は薄くなりますね。

ソ連側の内通者役のメラーブ・ニニッゼさんも存在感と凄味が凄かった。
この人は名優だと思うのですが、何故かキャリアに恵まれていないんですよね…。この作品で素晴らしい演技を見せた事で、もっと話題作に出て欲しいなと思います。

「我々のような人間から世界は変わるのかも」この台詞は重い。
変わった世界を彼が見れないのは非常に悲しい…。なぜ計画が漏れたのか?
あの自信満々の女性の計画に穴があったんじゃないかと怒りが込み上げます。

全くの素人を巻き込んだ責任はあると思いますが、あの決断とあの2人の奮闘が無ければ違う未来もあったのだろうかと思うとなかなかに胸に来る作品でした。
風来坊

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