LEONkei

ラヴィ・ド・ボエームのLEONkeiのレビュー・感想・評価

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)
3.8
パリの街で売れない作家・認められない画家・聴かれもしない作曲家…
哀れな3人が集まれば負の連鎖が加速する。

自由奔放な生き方が羨ましいと思う半面、明日の食事すら保証のない生活ではココロも貧しく自由も何も無い。
アートは認められなければ価値は無く、ただ邪魔なゴミでしかない。
『いつか認められる…好きでやってるんだから…』と自分に言い聞かせても、毎日生死を彷徨うギリギリ生活で意味があるのか。

だからと言ってそこで諦めたら、ゴミはゴミで終わってしまう。

自分ひとりなら強い信念と忍耐力があればいいのだろうが、恋する人が現れたとき本当の信念と忍耐力が試されるだろう。

恋とは想定外に突然に訪れるものなのだから…。

無情にも夢や希望からも見放された3人は感情を無くし、負の連鎖が連なってスパイラルにどこまでも落ちていく。

ただ、魂の抜けたような無表情の中にもココロの葛藤・怒り・悲しみと、ハッキリじんわり感情が伝わってくるのがアキ・カウリスマキの真骨頂。
悲壮感溢れ最悪な状況であるほど、観ているこちら側は滑稽で苦笑すらしてしまう。

この空気感が病みつきに、たまらなくいいんです…(u_u)
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