May

王国(あるいはその家について)のMayのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

一体何を観ているのだろう、と思いながら、そしてそれを維持したまま映画が終わってしまう。そんな稀有な鑑賞体験だった。

本作は、ある家族の子供を1人の他人が殺してしまったというなかなかに酷な設定を基盤に、リハーサルと風景が即興的に入れ込みながら映し出される。時間の大半が役者は台本を持ちながら、一つのシーンを反復するもので、つまり、現実と虚構が距離感が異常に近くそれが崩れることがない。
この作品がおもしろい点は、シーンを繰り返すことによって芝居がよくなっていたり、独立していたテキストがいろいろな形に変化していく、その過程を鑑賞者が追えることだ。何かに気づくことに楽しみすら覚える。
シーンを反復していることによって、あまりうまくいっていないシーンすらも作品として出してしまっている、その潔さも特殊だった。
May

May