彦次郎

家族ゲームの彦次郎のレビュー・感想・評価

家族ゲーム(1983年製作の映画)
4.0
時は受験戦争真っ盛りの昭和後期、出来の悪い中学生の高校受験の為に雇われた家庭教師吉本が沼田一家に一時的に影響を及ぼすホームドラマ。音楽を廃し効果音というか各キャラクターの食への拘りが執拗に描かれている独特なテイストを持つ作品。
ニヤケ顔で自分より成績を悪い奴を見下しながらも同級生に虐められているウダツの上がらないダメ野郎茂之が何ともリアル。それに対して吉本の方は三流大学を7年生もやっているキャリアと金・色・食欲に遠慮が無いという教師から縁遠そうな人物です。教えている最中も植物図鑑(エロ本を挟んで読んでいる事もある)を眺め茂之が舐め腐った態度を取ると暴力で制裁、不意打ちでキスしたりと、浮世離れ&不穏さが同居した危険人物で松田優作がハマり役でした。
本作を語る上で出てくるであろう終盤の食事シーンの長机で家族が互いの顔を見ない特異な光景(『ウルトラマン』に似たようなシーンはある)と破壊は印象的です。
型破り教師のおかげで出来の悪い生徒の成績が上がって皆がハッピーで人生前向きにいこう!…という凡百な話と違う点が良かったです。
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