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宮本から君へのt0moriのレビュー・感想・評価

宮本から君へ(2019年製作の映画)
4.0
20日に観たのに、また記録忘れてた。

テレビシリーズからどう繋げるか?と思っていたけど、特にそこは意識せず、中盤は抜いて、大胆に真淵拓真編以降の最終展開のみに集中した作り。真利子監督の原作愛が溢れていた。
確かに、あの原作のやりとり、台詞を極力切らずに1本の映画にまとめるとしたら、思い切って描くエピソードを限定するしかないだろう。加えて、演者の力量、熱量からしても、なるべく切らずに1カット長回しor2カメ長回しなど、芝居の流れを止めない演出にしたのは正解。その分、脚付で撮っても良さそうなカットまで手持ちだったのは、若干気になったけど。

池松壮亮の宮本が文句なしなのはシリーズで確証済みとして、蒼井優の靖子は、テレビシリーズのチラ出しレベルだと「合わないんじゃないか?」と懸念があったが、本編になると流石の演技力で引き込まれた。どんどん靖子に見えてくるから不思議。真淵親子のピエール瀧、一ノ瀬ワタルもジャストなキャスティング。これまたちょっと違うかな?と思っていた、井浦新の裕二も良かった。
あのマンションの外階段の対決も、まんま再現していて息を呑んだ。

尺的に致し方ない部分もあるが、前半の宮本母を慰める父と、拓馬の母になじられる下りが端折られた事は残念だった。宮本に取っての母性とどう向き合うか、という物語でもあったと思っていたから。
加えて、エピローグの陣痛が始まるまでのいつもと変わらない日常感が薄く、駆け足だったのはやや残念。原作から感じた、まるでヒーロー登場の様な高揚が欲しかった。

などと思いつく不満などその程度で、テレビシリーズから続いて、原作ファンにとっても最高の映像化であったと思う。
また、現実にも助成金を巡る別な戦いが始まっているのも、ある意味「宮本」らしい展開ではある。笑い事では無いが。
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